ある日の面接。
「あなたの持ち味はなんですか?」
そう聞かれたので、僕は負けず嫌いとこたえた。あながち嘘ではない。挑戦してみた問題が解けなかったら意地でも解くようにしているし、ググって答えを出したときには悔しさから台パンすることも多々。
中学時代引きこもってFPSをずっとしていたときも、負け続けると勝つまでやってしまっていたし、ダーツも目標の点数が取れなかったり、オンラインで負けたりしたらクソがと思いながら練習しまくるなどなど、負けず嫌いという側面は確かにあると考えたのだ。
これらのエピソードを脚色しつつ、負けず嫌いだと言うことを語った僕に対して面接官は
「でも、性格診断を見るとあなたは周りと争いたくないという傾向、平和主義の傾向が見られるのですが?」
これも事実だ。なるべく人とは争わない。意見が衝突しても僕が引くだろう。悪い言い方すれば何でも受け入れちゃう人間。だって、争い、醜い。
ここに来て性格診断と実際に話したことが矛盾しているということになってしまった。
しかし僕はこの負けず嫌いと平和主義、どちらの要素も持っているということを力説した。内面では「こいつに負けたくねえなあ」と思いながらもそれを口には出さないことで争いを回避。もちろん「負けたくない」という気持ちを糧に努力もしている云々。そのように話した。
が、どうやらダメだったらしい。無事に落ちてしまった。力説が効かなかった。いや、否は自分にあるんだけど。力説言うてもボソボソ早口でまくしたてただけ。そりゃ落ちるわ。
しかしながら負けず嫌いと平和主義が共存していることを思い知らせることがかなわなかったのがくやぢい。