逃げろ

逃げるな。

220514

未練がましく、通っていた大学のサイトを見ていました。名誉教授を授与のお知らせというリンクを踏むと授業を受けていた先生の名前と顔写真。そして米印とともに○月○日に逝去されましたという文字。

 

対して関わりはなかった。この先生のゼミに入っていたというわけでもなく、授業をいくつか取っていただけ。でもこの先生は学部の顔という感じで、いろいろな場所に顔を出していた。例えばオープンキャンパスの模擬講義。入学時のオリエンテーション

学生からのウケもよく、ゼミは超人気。授業もわかりやすく、合間合間で笑いを取ろうとして失敗する。お茶目といえばおちゃめ。だけれども授業態度には厳しくざわついた雰囲気が苦手だった自分にとってもありがたかった。

この先生の授業で急に担当教員が変わったことがあった。療養ということで前期は丸々お休みということらしい。後期から元気な姿を見て良かったなあと思っていましたが…。

深い関わりでもないんですけど自分が知っている人が亡くなるというのはつらい。

 

在学中にも似たような事はありました。

定年退職した教授で、口は悪い、字が汚くて読めない。学生に高圧的…。学生からのウケは非常に悪い先生がいた。それ故か後期の授業は受講生がガクッと減っていた。自分はこの講義が情報系を扱うってこともあって受け続けました。少人数になったということでPCを使っての実践形式。前期は延々と文法を汚い字で書かれていたので俺は大喜び。

でも相変わらず口は悪いし、説明時の字は汚いので実習のときはビビりながらなんて書いてありますか…なんて質問していたが。

あと自分はかなりの無能でほんと中学・高校レベルのこともわからんときがあった。冷静になればすぐできるはずなのに周りが終わって教室を出ていくのを見るたびに焦りパニック。わからんわからんとうなっていると先生が近づいてきて悪態をつきながら落ち着いてやれよとかこうやって解くの思い出せよ云々のフォロー。授業を思い返せば他の学生にも分かるまで教えていた。存外悪い先生ではない。

そう思っていた矢先、異変が起こる。先生の様子がいつもと違った。これまでの高圧的態度は鳴りを潜め、そして間違いが目立つ。学生から指摘されるとすまん…すまん…と言って、自分でもなんでだと困惑している様子だった。これまで見たことのない弱気な老人の姿。「すまんが授業はここで終わる」と開始30分ぐらいで授業が終わった。一部の人間は笑っていたが、俺はかなり心配だった。

次の回から担当教員が変わった。療養とのこと。きっと戻ってくるだろうと思っていた。

しかし新学期が始まり亡くなったことを知る。

 

この記事を書いていて、ふと資料の存在を思い出し見返すとそこには先生の汚い筆跡で解説してくれた文章がある。資料の書き込みをチェックした先生のサインがある。定期試験がんばれよと隅にちっちゃな文字と顔文字で書かれたお茶目な資料がある。どちらの先生も、授業を1年受けただけで大した思い入れもないはずなのに悲しい気持ちになるのはなんでだろうな…。