逃げろ

逃げるな。

1000円の重み

1000円。学生の身からしたらなかなかでかい金額じゃないですか。

1時間を1000円で売ってる身としたら結構でかい金額。と言う割には「1000円だけ…」言うてパチスロ打ちに行ってたりしてましたけど。そこは目をつぶってほしい。

 

とにかくそんな1000円を使って、今日は食事休憩の時やよい軒でステーキ定食でも食べちゃうか〜と。夜勤バイトという過酷な時間を乗り切るには給料が実質1000円減るとしても肉が必要だと思い至ったんですね。

 

意気揚々とやよい軒に入って、券売機を操作。お目当てのメニューをタッチして、ふと「先にお札入れとけばいいじゃん」と思った。

同じくタッチ式券売機を設置してある松屋や松乃家でも普段から先入れをしていた。ならやよい軒でもそうした方が良いという結論にたどり着いたのが悪夢の始まり。

 

お札を投入する。この動作には慣れているはずだった。飲食店の券売機、パチンコ屋のサンド。その他諸々で実戦を経験している。

投入口にお札を入れても「シュッ!!!!ウィーン!!!ガガガ!!!」みたいな吸い込む音がしない。

おかしいなあおかしいなあと、お札をドンドン入れて行く。それでもセンサーは反応せずお札は吸い込まれない。

「ああ、やよい軒の券売機は確定してから入れるパティーんけ?」そう考えた僕は、とりあえずお札を入れるのを途中でやめた。投入口から野口英世の顔右半分が出ているような状態。

 

確定してみたがやはり野口英世の右顔は消えない。センサーが奥の方にあるんかなあと仕方なく奥まで挿入。

それでもお札を認識しない券売機。

もうちょい奥かとさらにお札を奥へ奥へ奥へ奥へ…。

完璧に消えた。もはや触れることもできない場所まで進んだ野口英世。それでもお札を認識しない券売機。

そこでようやく気づく。投入口に入れていたと思い込んでいたのだが実は違った。

緑色の光を発する投入口の上に謎の隙間があり、そこに僕は野口を入れていた。

なんとか引っ張り出そうとするけれども、もはや時既に遅し。帰らぬ人となった野口。後ろには数名の客。時計を見ると休憩時間はあと30分。店員さんを呼ぼうとも考えたが僕は野口に別れの挨拶。2枚めを投入し食券を購入しその場からそそくさと離れた。

もう、考えるのをやめた

 

 

 

 

2000円のステーキはうまかったです。